かわいい子たちのテレビや舞台、お仕事の感想を中心に。
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ミシマダブル
 斗真さんはいつか蜷川舞台に出るんだろうと思っていたけど、それが思っていたより急だったので驚いた。
 いや、急なわけではなかったのかも知れない。
 なんにせよ、蜷川氏の仕事量と回転ぶりをなめてました。

 というわけで、Bunkamuraシアターコクーンにて、ミシマダブル──「わが友ヒットラー」および「サド侯爵夫人」──を、観たときの話。
 サドは、未読だが篠井英介氏のお芝居で観たことがあるので、内容を知っている。
 ヒットラーは、未読。内容も知らない。

 三島自身は、この二作品は一対である、とし、同セット、同キャストでの上演が観たい、という主旨の発言をしているのだけど、今回の上演までそれを実現した人はいなかったそうです。

 先に観たのは、初日のヒットラーでした。

 開演前の舞台は相変わらずガランとした空間で、奥の搬入口が開放されて、駐車場とその向こうの車道が見える。
 一回でいいから、外走ってる車の中からここ見てみてえな、って思う。
 演出で、大竹しのぶが走って外の駐車場に消えてったこともあったなあ…。

 さてヒットラーですけど、私はこの頃ちょっと忙しくて、あまり寝られていなかったので、一幕ややぼんやりしてしまったところもあったのだけど、一幕を観ているとき、ああ木場さんはなんてきれいな声なんだろう、ととりあえず思っていた。
 あの声をずっと聴いていられる…とも。
 ヒガシさん…斗真さんも、声を張るところは叫んでいるみたいになってしまうのがやっぱり、舞台を観るにあたってはやや、気になっていました。

 東山氏のレーム役。
 彼の演技はもともと「愚直なまでに生真面目な一本調子」、という印象が私にはあって、今回もその印象のままでした。というかこれに関してはひたすらそれのみ、という感じ。それが、レームにはうまく合っていたような気がする。
 二幕の、シュトラッサーとのやりとりのもどかしさっぷりは、もう神業級でした。
 でも、ヒットラーの劣等感を刺激した親友という立ち位置で、彼の有無を云わさぬ美丈夫ぶりは台詞回し以上に効果的なんじゃないかとかは思った。
 双眼鏡を忘れてったので金髪の顔がちゃんと見られなかったのが残念でした。

 斗真ちゃんは、とてもよくやっているけど、さすがにヒットラー役にはイメージ的にやや違和感かなあ、とちょっとだけ思っていた。
 三幕始まるまでは。
 三幕のヒットラーはよかった。というかここが真骨頂だった。これで全体の印象も改まりました。
 ファンとしては、このヒットラーを観るためだけにチケット代を払った、と思っても安かった。
 いやー、楽しかった。もっかい観たい。

 そして、サド。
 あらためてびっくりしたのは、この舞台の動きの少なさというか、本当に人物が正面向いて(悪く書けば突っ立って)滔滔と台詞を云っているだけの場面の多いこと。
 台詞の洪水だよ…。
 しかもほとんどの台詞が、喧嘩したり悪口云ってるだけっちゃだけなんだけど(笑)。
 この台詞をすべて憶えてその上で舞台に立っているってだけで、私は俳優さんを無条件に尊敬する、と思った。

 一幕は、長いこと主人公であるサド侯爵夫人ルネ(東山)が登場しない。
 サド侯爵の行状に関する長い前振りがあって、突如母親のモントルイユ夫人も予期しなかったルネの登場、となる場面。
「お母さま!」と入って来たルネが、また凄かった。
 もともとの長身にくわえ高く上げた金髪、全身真っ白なドレスとコート。
 遠目にもすぐわかる、高くまっすぐ伸びた鼻梁。
 う、美しい…。
「なんかすごいの来た!」と目がさめるようだった。
 勝手に光を放っているようだった。
 いやあ、すごいよねヒガシは…。

 でも、レーム役はともかく、やはりルネの方は、東山氏には難役だったのかなあ…。とも、正直思いました。
 私が、篠井氏のルネを観たことがあるせいかもとも思ったけど。
 比べてはいけないと思う。でもやっぱり、一本調子ではルネは演じられない。
 でも、女形として演じるのではなく、地声で、男として女を演じるアプローチは、嫌いじゃない。と思った。

 さて一幕の終盤にようやくルネの妹アンヌ(斗真)登場。
「ちゃっかりアンヌ」(命名しました)がパリのおうちに帰ってきて、どこ行ってたのかと思ったら、姉の夫であるはずのサド侯爵との赤裸々ヴェニス旅行を大暴露。お母さんびっくり仰天。
 で一幕は終了。
 なんだけど。
 ピンクのドレスで、縦ロールで、むっちゃくちゃかわいい(笑)。
 たまらんかわいいんだけど「(笑)」を入れずにいられない(笑)。かわいい…。
 アンヌもう、すごいダメなのね(笑)。ダメギャルなのね。
 だって二幕ではお姉ちゃんに張り合って、「お姉さまのやり方は女のやり方じゃないわ、妻って結局母親になっちゃだめなのよね、だからお義兄さまだって私の方を女として愛してくれたんだわ」(意訳)、みたいなケンカ売り始めてお姉ちゃんキレさせて、かえって酷いこと云われてんのに全然わかってなくて、二言目にはおあいにくさまヴェニスヴェニス云うてるし。
 さらに三幕ではちゃっかり結婚してるし!
 ええーっ? って、笑っちゃったよ。夫が夫が、って誰だよその夫!
 あのヴェニスとこのヴェニスは全然違うヴェニスなのよ、って、何云ってんの(笑)。
 しかも、旅支度だろうか、なんかちっちゃい袋持ってた。
 当時の服飾に詳しくないから、目的はあるのかも知れないけど、とにかく「なんも入らんやろそれ」っていうちっちゃい袋を、ちょこんと持ってるの。
 かわいいわあ…。
 アンヌの出番がまた全体にすーくなくて、そこもたまらんかった。
 そしてカーテンコールのかわいらしさ(ぶりっこ)も最高でした。
 このアンヌ役で、ひっさびさに昔の斗真の面影を見たなあ…と思いました(語弊があるが)。

 …今回のカンパニーで、お芝居として面白いと思ったのは、ヒットラーの方でした。
 サドは、演出がどうかな…、と感じた。
 ぶっちゃけ拍子木の音が不要だった気が。
 効果的なところもあったと思うけど。数が多かったかな。

 個人的にいちばん気になったこと。
 どちらの芝居も、主人公の最後の一言がものすごい威力で全体を締める役割を担っていると思うんだけど、その云い方が二作品とも、ん? と首をひねる感じで。
 これは演技の話ではなくて、演出の話だと思うんだけど…。
 もっとこう、トーン! と美しく落ち得る台詞なんじゃないのかな、って感じてしまって。
 この、ヒットラーおよびルネの最後の台詞、三島が書きながら頭の中で聴いていた声の調子とは、確実に違うだろう…というふうに感じてしまった。
 いや、わからないんですけど。
 サドに至っては、ああこれ、終わりか…と思う雰囲気もなきにしもなかった。
 それはヒガシくんの台詞の調子が、本当に最後まで少しも変わらないせいだったんだけど…。

 しかし二作品とも、ものすっごい、面白い話だった。
 観劇後、文庫で読みました。
 無事、二作品とも観劇出来てよかったです。
 斗真さん他出演者の皆様本当にお疲れさまです。楽しい時間をありがとうございました。

 そして斗真さんブルーリボン賞おめでとう!
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